30号棟の最も詳しい見取り図は

復刻]実測・軍艦島 高密度居住空間の構成 に掲載されています。

 

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引き戸を開けると半畳ほどのコンクリート土間

竈と流しとバックを備えた板張りの台所が

土間と合わせて2畳ほどのスペースにまとめられ

奥に6畳和室という1Kの間取り。

 

7階建の集合住宅の台所に竈? と若い方々は不思議に思われるでしょう。

昭和30年代前半までに建てられた住宅では、標準仕様だったのです。

 

バックというのは、コンクリート製の四角い水瓶。

これも水道設備が普及する前の標準仕様です。

 

30号棟の特筆すべき点のひとつに、上り框の高さが45cmもあったこと。

躯体に木造長屋をそのままはめ込んだような作りは、

当時ならではの手法だったのかもしれません。

 

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軍艦島の生活<1952/1970>住宅学者西山夘三の端島住宅調査レポート

45ページのイラストを接写

1970年時の30号棟1階住宅事情に余裕ができ

1世帯で2戸使用しているもの

 

 

母が軍艦島での思い出を語る時、必ずする話がいくつかあります。

ある日の深夜、ガサゴソガサゴソという音に目を覚ますと

板の間から土間をのぞきこむように父がしゃがんでいて

母が何事かと見てみたら、夜釣りから帰った父が

獲物の伊勢海老5匹を、嬉しそうにツンツンして遊んでいたそうです。

当時の父は、29~30歳・・・若かったんだなぁ~(笑)

初めて伊勢海老を見た母は、食べ方が分からず全部塩茹でにしたそうです。

私も食べたらしい・・・

そこは刺身と味噌汁やろう!

と、思いっきりつっこんでやりたいところです。